黒木の部屋へようこそいらっしゃいませ。
ここには、体験を元にしたフィクションの物語を書き綴ります。
登場する人物や場所などの固有名詞は全て架空のものであり、また、使われている画像も全てイメージで、実際のものとは何の関係もありません。
尚、書き進めるうちに過激な表現が含まれるかもしれませんので、予めご了承願います。


※『過去ログ』や『カテゴリー別』の表示にすると、書いた順番にソートされますので、本のページをめくる感覚で読めると思います。

では、お気に入りの物語をお選び下さい。
§1・『カヲリ−前編−』 §1・『カヲリ−後編−』 §2.『かっちゃん−其の一−』 §2.『かっちゃん−其の二−』 §2.『かっちゃん−其の三−』 淡い想いを思い出していただければ嬉しく思います。

2013年08月05日

かっちゃん−182−

その夜遅く、かっちゃんちのおじさんがうちにやって来た。
まさか、ばれちゃったのか!?一瞬そう思ったけど、どうやら違うらしい。
トイレに行った時に息を殺して会話をこっそり聞いてみた。

「い〜じゃねえか、頼むよ源ちゃん」
「いや、そー言われてもなぁ...」
なにやら相談しているようだ。
俺の父親の名は冨樫源太、かっちゃんちの父親は太田裕一。お互いに源ちゃん、裕ちゃんと呼び合っている。
「金は払うからさ。うちは銭湯なんてやってるからなかなか連れてってやれねんだよ」
「だけどよ裕ちゃん、なにかあっても責任とれねぇよ」
「はっはっはぁ!なにかあったって相手はお前んとこの啓ちゃんだろ!」
「ん...まぁそうかもしれねぇけど..」
「だったら構わねぇよ!よそのガキだったら承知しねえけど啓ちゃんならいいよ!」
「お前なぁ...」
「俺はよ、嫁にやるなら啓ちゃんだと思ってんだ。いやいや、他の男を連れてきたら納得いくまで首は振らねぇよ。だけど啓ちゃんだって満更でもなさそうじゃねぇか!」
「おい、あいつらはまだ子供だぞ。まだそんな事考えるのは早くねぇか!?」
「なに言ってんだ。今の子は俺たちが考えているより進んでんだ。もしかしたらもうやっちまってるかもしんねぇぞ」
「まぁさかぁ〜。うちの啓太は割合盆暗で..お前んとこのかっちゃんが好きだって言ってくれても気が回ってねぇかもしれねぇよ」
そこにかあちゃんが口を挟んだ。
「そうだねぇ..あの子は鈍いところがあるし、やっぱり未成年を連れて行くってのは責任がねぇ...」
「だから由美ちゃん、責任なんて考えなくていいんだって!俺だって連れて行きたいのは山々なんだけどできないからこうして頼んでんじゃねぇか。な。頼むよ。あいつも頑張って合格したんだから褒美をやりてぇじゃねぇか」
なんだかかっちゃんに高校合格のご褒美をやる相談のようだ。
だけどなんでうちの親に頼んでるのかがわからない。
「べつに婚前旅行に二人っきりで行かせようってわけじゃねぇんだからさ。源ちゃんたちに面倒見てもらうのは申し訳ねぇと思ってんだけど...な。頼むよ」

旅行...Σ( ̄◇ ̄;)!!
俺とかっちゃんが旅行!!
修学旅行じゃなくて!?!?

思わず茶の間の戸を開けた。

「..あ...こ..こんばんは...(; ̄ω ̄)ゞ」
「おう!啓ちゃん!こんばんは!相変わらずいい男だねぇ!」
酒飲んでた...
「啓太..どうしたの?」
「あ..いや..トイレに来たら話し声がしたから(; ̄ω ̄)ゞ」
「おう!そうか!まぁこっち来て座れや!」
「おい、裕ちゃん..ヾ(´▽`;)」

「今、うちの勝美を一緒に旅行に連れてってくれって頼んでたとこなんだよ。うちは銭湯を休むわけにいかねぇから源ちゃんにお願いしてたんだけどなかなか首を縦に振らねぇんだ。啓ちゃんはうちの勝美も一緒の方がいいだろ?」
「え(*゚∀゚)...はぁ...」
「おい、裕ちゃん..ヾ(´▽`;)」
「チュウくらいしたんじゃねぇかぃ?どうだ啓ちゃん?俺は啓ちゃんだったらいつでも勝美を嫁にくれてやるつもりでいるんだ」
「おい、裕ちゃん..ヾ(´▽`;)」
「太田さん、子供って言ってもおたくのかっちゃんだってもう女になってるんでしょうし..責任とれませんから...」
「女になってるって..生まれた時から女じゃんか(-""-;)?」
「いいからお前は!」
「啓ちゃん!そりゃあ子供がつくれるって意味だぁ!はっはっはっ!」
「ちょっと!太田さん!」
「あぁ!いいから啓太は部屋行ってろ!」
「え..ああ..ほんじゃおやすみ...(-""-;)」

子供が作れるって...酔っぱらいがなんの相談だったんだろ...( ̄~ ̄;)???
もしかして今から結婚の打ち合わせか!?
まさかな...
責任とかどうとか...?気になるなぁ...
旅行とも言ってたなぁ...どこかに旅行行くとか?
うちだって最近は旅行なんて行ってないぞ?

とりあえず明日かっちゃんに聞いてみよう...なにか知ってるかな?


《第百八十三話へつづく》

・第百八十一話はこちらから。

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2013年08月08日

かっちゃん−183−

「夕べかっちゃんちのとうちゃんがうちに来た( ̄◇ ̄)b」
「ふ〜ん(´・ω・`)ちょっくら行ってくらぁって出たのは知ってたけど、けいくんち行ったんだ?」
「うん。なんかうちのとうちゃんと酒飲んで話してた( ̄◇ ̄)b」
「なんの話?」
「それがさ...旅行に行くとかなんとか...( ̄~ ̄;)」
「旅行!?..まっさかぁ〜ヾ(´▽`;)うちお店休めないもん」
「そこなんだよ( ̄◇ ̄)b..それでうちのとうちゃんに頼みに来たみたいなんだ」
「そぉなの(〃¬_¬)?」
「たぶん( ̄~ ̄;)...」
「たぶん...(〃¬_¬)?」
「俺も一緒に聞いてたわけじゃないからはっきりしないんだけど..うちのとうちゃんに連れてってくれって頼んでたような気がする(。-`ω´-)」
「けいくんち旅行行くの(〃¬_¬)?」
「わからん( ̄~ ̄;)」
「じゃあわかんないわよ( ̄~ ̄;)」
「ん〜〜..でも未成年を連れてくのは責任がどうとかとも言ってた(。-`ω´-)」
「責任てなによ(〃¬_¬)?」
「かっちゃんが女だからとか( ̄~ ̄;)?」
「生まれた時から女なんですけど(。-`ω´-)?」
「子供が作れるって事だってかっちゃんちのとうちゃんが言ってたヾ(´▽`;)」
「子供が作れるって..(//@o@//)!?」
「うん..(;^ω^)」
「婚前旅行させる気かな(〃¬o¬)?」
「こんぜん..なに(-""-;)?」
「結婚する前に一緒に旅行することだょ(〃¬o¬)..既成事実作っちゃうって事ね」
「きせい...なに(-""-;)?」
「つぅまぁりぃ..ε=(。・`ω´・。)..結婚する前に夫婦みたいな事しちゃって結婚するって決めちゃう!..みたいな事よ!」
「け、結婚って!?..Σ( ̄◇ ̄;)」
「でもせっかく高校受かったのに妊娠しちゃったらすぐに辞めないとだよね〜(-""-;)...」
「に、妊娠っ!?..(・∀・;ノ)ノ」
「そうなったらけいくんも辞めて働いてくれないと(-""-;)..」
「え!?お、俺もっ!?..(〇▽〇lll)ノノ」
「だって赤ちゃんのミルク代くらいは稼いでもらわないと(。 -´ω`-)σ"」
「だけどまだ一度もした事ないんだから..ま、まだ早いよなヾ(;´▽`A``」
z2k085.jpg「でも婚前旅行なんでしょ(〃¬_¬)?」
「あ(;・∀・)..いや..なんか違う...かも?」
「じゃ(〃¬_¬)なに?」
「だから..(-"-;A...うちの旅行にかっちゃんを連れてってくれって事じゃないのか?」
「あ(//@o@//)..なんだ..そっかぁ!」
「当たり前だろ(-""-;)..どこに中学生二人だけで旅行させる親がいるんだよ!?」
「やっだぁ〜!そぉだよねぇ(ノ∀`*)」
「でもホントに行くのかな( ̄~ ̄;)?俺、そんな話聞いてないんだけど..」
「でも一緒に連れてってもらえると良いなっ(´∀`*)」
「そ〜だなぁ..( ´ー`)」
「それってたぶんお嫁に行っても良いってことだよね(〃´∀`)?」
「え..あれ?..そぉなのかな( ̄~ ̄;)?」
「そぉだよぉ〜ヾ(´▽`;)..そぉじゃなきゃ一緒になんてなんないよ」

結婚を前提になんて事はまったくもって早すぎると思うんだけど、かっちゃんはそのつもりでいる。
たぶん親同士が友達で信頼できるから頼みに来たんだろうし、俺たちも赤ん坊の頃から仲が良いから大して心配もしていないんだろう。
まぁ..かっちゃんのとうちゃんと、かっちゃん本人は、そうなっちゃったらなっちゃったで構わないと思っているみたいだけど...

まさか昨日の“さわりっこ”は知られていないはずだよな...( ̄~ ̄;)?


《第百八十四話へつづく》

・第百八十二話はこちらから。

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2013年08月12日

かっちゃん−184−

卒業式。
うちのとうちゃんとかあちゃんも、かっちゃんちのおばさんも、ちょっと普段は着ないようなスーツを着ておめかししていた。
かっちゃんも朝からウキウキしているようだ。
そんな卒業式もあっという間。

相変わらず校長先生の話は長くて退屈だったけど。
校歌を歌ったし、仰げば尊しも歌った。
卒業証書を校長先生から一人ずつ手渡された。
在校生の送辞に答辞で返したのはやはり主席と噂される生徒だった。
ちらりと見たらかっちゃんが泣いていた。
他の女子も何人か泣いていた。

教室に戻ると担任の赤居先生が一人ずつ名前を呼んで卒業文集と紅白の大福を配った。
「お前は良いことも悪いことも、なにかあるといつもいたなぁ」
みんなが笑った。
かっちゃんには「お前はとにかく真っ直ぐだ。信念を貫く強さがある。これからも自分を貫け」と格好いい事を言っていた。
なんだか俺の時と随分違うなぁ...( ̄~ ̄;)?

教室を出るともうここで授業を受けることはないんだなってしんみりとする。
玄関を出ると更にしんみりとする。
かっちゃんのところにはテニス部の後輩が駆け寄ってくる。
「勝美さん!今までありがとうございました!」
えっと..サッカー部の連中は...?
みんな青木のところへ行ってやがる...(-""-;)
ま、一番世話になったんだしな...
だけど森田は俺を見つけて寄ってきてくれた。

「冨樫さん!太田さんと同じ高校へ行くんですよね?」
「ああ..そうだけど..?」
「へへ..いいなぁ(*^ー^*)..これからも仲良くしてくださいね!」
「お..おう...(; ̄ω ̄)ゞ」
すると青木が黒沢や近藤達を連れてやって来た。
第二ボタンがないぞ..こいつら...?
「へへへ..ほぉら(*^ー^*)」そう言いながら青木が見せたのはボタンだった。
「なに?」
「黒沢くん達からもらっちゃった♪」
「普通は卒業する男が女にやるんじゃなかったっけ?」
「いえ!俺たちが青木さんにもらってほしかったんですε=(。・`ω´・。)!」
「えΣ( ̄◇ ̄;)!?青木がくれって言ったんじゃないんだ!?」
「俺たちがもらってくれって頼んだんですε=(。・`ω´・。)!」
..なんかおかしいだろ...それ( ̄~ ̄;)???

「あ!太田さん!」
今度はあんこちゃんと早苗ちゃんがやって来た。
「卒業おめでとうございます!」
「へへ(*´σー`)ありがとう」
「あの..これ、よかったらもらって下さい」
そう言って手渡されたのは部屋の窓くらいの大きさはある1枚の絵だった。
そこには明るく笑うかっちゃんが描かれていた。
「わぁ〜!すごぉいΣ(@◇@;)!これさつきちゃんが描いたの?」
「はい(*^ー^*)!」
「すごいすごい!大切に飾るからね(o⌒∇⌒o)!」
「これからも憧れの先輩でいて下さい(*^ー^*)!」

みんなで記念写真を撮ったり撮られたり。
校門を出るととうちゃん達が待っていた。
「おじさん!帰りにコーヒー飲みたくない?」
うちのとうちゃんはコーヒーが大好きだ。
「お!かっちゃん、わかってるねぇ!よぉし、かっちゃんにはパフェをご馳走してあげよう!」
「これ、勝美!もぉすみません..躾がなってなくて...(-"-;A」
「ははは( ^∀^)いいさいいさ。卒業式だもんなぁ?」
「ほぉらヽ( ´ー`)ノね?」
「勝美(-""-;)!」
「あ。じゃあ俺もなんか食いたい( ̄~ ̄;)」
「商店街のパーラーイチカワ行こっ♪あそこのチョコパフェが美味しいんだよヾ(@⌒¬⌒@)ノ」

そこでうちのとうちゃんから重大発表があった。


《第百八十五話へつづく》

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かっちゃん−185−

「ここにいるみんなで旅行に行くぞ( ̄◇ ̄)b」
「えΣ(@◇@;)!いつ!?」
「やったぁ!o(*^▽^*)o」
「今週の土日だ( ̄◇ ̄)b」
「どこΣ(@◇@;)!?」
「会津だ( ̄◇ ̄)b」
とうちゃんの会社の社長の別荘があって、そこを貸してもらえる事になったらしい。前にも一度行った事がある。たしか檜原湖の近くだ。

「まだ雪があるんじゃないの?」
「昨日管理人さんに電話して訊いたら大丈夫だとさ」
「でもどうやって?」
「うちのに4人乗れるし、かっちゃんちの車だって4人乗れるから平気だよ」

ぱんぱかぱ〜〜〜ん♪ファンファーレと同時に頭の中で一斉に花が咲いた。

「た・だ・し!ちゃんと言う事聞けよ( ̄◇ ̄)b」
「わかったo(*^▽^*)oo(*^▽^*)o」
「あ(*゚∀゚)!..でもお店は?」
「まぁ今まで休んだ事もなかったし..たまにはね(^▽^;)」
「やったぁ!ヾ(*≧∀≦*)ノ」
「よかったなぁ(*^ー^*)かっちゃん?」
「うん!旅行なんて初めてっ!ヾ(*≧∀≦*)ノ」
「それでこないだかっちゃんちのとうちゃんが来てたんだ?」
「まぁな。本当はかっちゃんだけ連れてってくれって言われたんだけど..それはどうもな(^▽^;)」
「私だったらそれでも構いませんよ(*^ー^*)」
「それだと迷惑でしょ(-""-;)!」
「え〜(・ω・` )だってけいくんと結婚したら毎日おじさん達と一緒にいるんじゃんねぇ?」
「はっはっはっ(^▽^;)そりゃそ〜だ!」
「冨樫さんヾ(;´▽`A``」
「そうよ(-"-;A..まだ中学を卒業したばかりなんだから..」
「はっはっはっ(≧∀≦。)ノ」

さっそくバイト先に相談しなくちゃだな...( ̄~ ̄;)

計画どおりに春休みにとうちゃんの知り合いの農家でアルバイトを始めたばかりだった。
ビニールハウスの中でスイカやメロンの苗を作っている。そこの親父さんを親方と呼ぶ。
俺がバイトをするって言ったらなぜか山田も便乗して一緒に雇ってもらった。
次の日、早速親方にその事を相談すると、先にとうちゃんから聞いていたらしくてすんなりと話が通った。

「い〜ね〜♪卒業旅行かぁ?良いよ。行って来な」
山田は羨ましがった。
「おい、お前の分も働いとくから土産忘れんなよ(-""-;)!」
「はいよ(*^ー^*)」
「でもそれって婚前旅行なんじゃねぇの(-""-;)?」
「そんなんじゃねぇよ(-""-;)!」
「親と一緒じゃ婚前旅行じゃねぇだろ(^▽^;)それよかちゃんと手ぇ動かせ!」
「あ...すんません(-""-;)(-""-;)」
メロンもスイカも芽が出たら南瓜や夕顔に接ぎ木をしなくちゃ丈夫に育たない。
西瓜の苗の根元をカミソリで鋭角に切って、南瓜の苗の新芽を竹串で取り払ったところへそれを差し込む。
これで接ぎ木が完成だ。でも実際にやってみるとコツが必要でなかなか難しい。これを毎日何千本とこなす。
単純作業だけど慣れてくると面白い。
昼飯はこの家のばあちゃんが作ってくれるし、しかも昼寝付きだ。悪くない。
昼間はバイトをしているからかっちゃんと会うのは夕飯食った後に少しだけ。
それも高校から出された課題を一緒にして他愛もない話をするだけで、あれ以来なにも進展はしていなかった。
時間もないし、いつも近くに人がいるから進展のさせようもないんだけどね...

そんな一週間はあっという間に過ぎた。


《第百八十六話へつづく》

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2013年08月21日

かっちゃん−186−

俺は前日の夜、小さな子供みたいにわくわくして眠れなかった。
当然、叩き起こされる。

「啓太!いつまで寝てんだ!かっちゃん達来てるんだぞ!」

とうちゃんに起こされると眠い目を擦りながら茶の間へ降りて行った。
「よぉ!けいくん、おはよう!」
「あ(´つω-`)..おはよ〜ございます..」
「ぼぉっとしてないで早く顔洗っといで(-""-;)!」
「悪いなぁ(^▽^;)..いつもあんな調子でよぉ..」
「けいたにいちゃん、眠そうだね〜(〃^∇^)o」
「なぁ(^▽^;)..ねぼすけ兄ちゃんて言ってやれぇ!」

結局、俺の寝坊のせいで予定より30分程度出発が遅くなってしまった。
軽自動車2台に別れて乗って福島県まで。かっちゃんちの車にはかっちゃんのとうちゃんとかあちゃん、妹の秀美ちゃんと弟の祐介くん。うちの車には俺ととうちゃん、かあちゃん、そしてかっちゃんが乗った。
今みたいに高速道路も整備されていない時代。もちろんコンビニもなくて、途中の休憩と言えば国道沿いのドライブインか、自販機の並んでいる商店くらいだ。
福島県に入る手前の峠で右へ左へとカーブが連続していたせいで、祐介くんが車酔いしたみたいで、途中のドライブインで休憩する事になった。

z2k111.jpg昼にはまだ少し早かったので10時のおやつって感じ。
大人はコーヒーや紅茶を少し気取った感じで飲んでいたけど、俺たちは普段飲めないクリームソーダとかレモンスカッシュなんてのをここぞとばかりに注文した。

ところが、この炭酸がよけい悪かったのか、さてそろそろ出発って時にかっちゃんちの車の窓が開いて祐介くんがそこから外へ身を乗り出したと思ったら、そのまま駐車場にゲエゲエし始めた。
慌てたのは大人達だ。
かっちゃんも俺の隣で「ひゃああっ!」なんて声を上げていたけど2ドアの車の後ろに乗っていたんじゃすぐには駆け付けられない。
うちのとうちゃんがドライブインの人を呼んできて、外の水道のホースで吐いたものを流してもらった。
かっちゃんちのとうちゃんはドライブインの人にペコペコ謝ったり、かっちゃんちのかあちゃんは祐介くんの面倒をみたり、今日ばかりは秀美ちゃんもかっちゃんもする事は何もない。
ドライブインの人は親切に「畳で休んでいきませんか?」と言ってくれたんだけど、かっちゃんちのとうちゃんはバツが悪そうに「いえいえ、先を急ぎますので」とか言って出発する事にした。

「祐介も昨日は遅くまで寝なかったからなぁ( ̄~ ̄;)...寝不足が悪いんだよね...」と、かっちゃんが少し心配そうに言った。
「楽しみにしてたんだねぇ(*^ー^*)あのくらい男の子なら平気だと思うけど」
うちのかあちゃんが安心させようとそう言った。
するとかっちゃんが俺の方をちらりと見て、「けいくんは寝不足大丈夫(〃¬o¬)?」と聞いてくる。
「小学生の子供と一緒にすんなよっ(-""-;)!」
「啓太も夕べは楽しみで寝られなかったもんなぁ!(*≧m≦)=3」
「うっせぇな(-`ω´-〆)!ゆ〜なよっ!」
「へへっ(。 -´ω`-)σ"寝れなかったんだ?」

かっちゃんが、軽自動車の狭い後ろの席で“つんつん”と俺の脇腹を突きながらそう言った。
いつもならくすぐったくて笑い出すんだけど、なんだか上目遣いのかっちゃんにドキッとした。でもそれに気付かれるのが照れ臭くて「やめろよぉ(-`ω´-〆)!子供みたいだなっ!」って言ってしまった。

かっちゃんは少しだけ口を尖らせたあと「うふふ」と笑った。


《第百八十七話へつづく》

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